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Evergrandeショックは米株の仕込み機会: TMOやNKEに注目

中国の不動産大手Evergrandeが20日の中国株式市場で急落したことで、今晩の米国株も下げが見込まれています。Evergrandeに関しては、米リーマンショックと違って、欧米の金融大手が過剰なエクスポージャーはとっていないと推察されることから(もちろんHSBCやUBSなどそれなりに損失を出すことにはなりますが)、リーマンのようなシステマチックリスクにはならないとみてます。

中国の不動産や住宅市場は弱含むことで、中国の景気リスクが大いに意識され、建機などの中国関連銘柄も売られるでしょう。個人的には、中長期で独自の成長力を有している銘柄の格好の仕込み場であると捉えています。

例えば、ナイキです。同社は中国市場とも縁が深いですし、先週のヤム・ブランズやスターバックスのように中国景気懸念で売りが出やすい銘柄といえます。最近ではコロナでベトナムの施設閉鎖で売上機会が低下していることがリスク視されています。

たしかに売上機会にとってネガティブに左右する事象ですが、ナイキそのもののブランド力や製品力の低下を示唆しているものではありません。供給力不足が理由ということは、供給がキャッチアップできれば売上が回復する余地が十分にあるため、こうした下落機会をうまく押し目買いに活かしたいところです。ナイキは目先、決算発表を予定しており、私としては買い機会をうかがっています。

こうしたマクロ要因で不安定な相場下では、安定成長銘柄の押し目買いを検討します。ナイキなど、向こう数年や5年先の業績目標や予想を開示している会社に注目しています。例えば、ペイパルホールディングスです。

もう1社、ヘルスケアのサーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)に注目しています。既に保有している銘柄ですが、デルタ変異株のリスクが高まる中出株価はジリジリと戻し、17日に5%上昇して最高値を更新しました。この日のインベスターデーの内容が大きく好感されました。

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TMOはCOVID-19関連で売上高が増えています。2020年度売上高322億ドルのうち、66億ドルがCOVID-19関連でした。具体的には、PCR検査需要とワクチン・治療薬開発のための部材供給です。2020年はコロナが蔓延したことで大きく検査需要が増えましたが、2021年に入り、ワクチンが普及しだすとPCR検査需要の減速が意識され、株価は冴えない展開となりました。

しかし、デルタ変異株が猛威を奮っていることで、この売上高が再び伸びる、または安定的にリカーリングレベリューとなる可能性が高まっています。実際に、2021年のCOVID-19関連売上高は67億ドル(うちPCR検査が49億ドル)と、前期並みの水準を見込んでいます。

同社の強みは、恒常的に売上高を期待できることです。医薬品の開発は人口が増え、高齢化が進む限り、なくなりません。TMOは医薬品や政府系機関、大学など様々な顧客に商品を納入しています。17日のプレゼンでは、TMOの対象市場規模は1700億ドルで、長期にわたり年率4-6%成長が期待できるとしています。

そうした中で、同社は買収やCOVID-19関連の影響を除いた既存事業売上高は年率7-9%増を目指しています。

加えて、長期的にさらなる強みとして期待できるのが、PPDの買収です。今年4月に合意を発表し、年内に完了見込みです。PPDの買収は医薬品やバイオ企業から開発や治験などを受諾するCRO(Clinical Research Organization)事業の大手です。特にバイオ医薬など、会社規模が大きくなく、薬の承認を得るための治験に関するノウハウや施設などが乏しい新興企業は、こうした業務を外部にアウトソースする傾向にあります。

TMOはPPDを取得することで、そうしたアウトソース需要を取り込むとともに、将来的にそれらの企業に自社製品(医薬品を開発するための装置など)を納入できる機会の拡大が期待されます。TMOは薬の開発に必要な装置やプロセスなどの知識や事業経験が豊富ですので、PPDによる開発や治験のコスト削減や効率化などを実現できる余地もあります。

TMOはPPDを取得した最初の1年間で調整後EPSで1.50ドルの寄与を見込んでいます(2020年度実績は19.55ドル)。

インベスターデーで開示した2022年の売上高見通しは403億ドル(2021年度見通しは359億ドル)、調整後EPSは21.16ドル(同22.07ドル)としました。既存事業売上高は8%の増加を見ています。COVID-19関連売上高は7.5億ドルと、検査需要(2021年度予想49億ドル)の大きな減速を見込んでいますが、コア事業が成長を牽引する見通しです。

そして、2025年度の調整後EPS見通しも公表しました。31.04-31.84ドルです。今後3年間の年平均成長率は14-15%で、今期2021年度の予想成長率(13%)と同等以上を見込んでいます。既存事業売上高は年率7-9%成長を見込み、2025年度売上高は488-508億ドルのレンジ見通しとしました。

株価は17日に大きく上昇した反動で、一旦は利益確定売りに押される展開が見込まれますが、このような中長期成長力をしっかりと堅持している企業にフォーカスを当てていきたいと思います。

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