ペットや家畜用医薬品大手のゾエティスは4日寄り前に4-6月期決算を発表し、株価は3.2%安と大幅下落しました。売上高は市場予想を上回る5%増の20.52億ドルでしたが、調整後EPS(1%増の1.20ドル)は市場予想の1.23ドルをわずかに下回りました。また、ペット向け医薬品での競争リスクも警戒されました。
為替変動が逆風となりました(売上高の約半分は米国外です)。通期見通しは為替影響除外ベースの売上高は前期比9.5~10.5%増(従来予想は9~11%増)、調整後純利益は11~13%増(同10~13%増)と、調整後純利益はやや上方修正しましたが、為替影響を含めた調整後EPSは4.97~5.05ドルと、従来予想の4.99~5.09ドルから引き下げました。
地域別売上高で、米国は9%増、米国外は2%増でした。米国外は、売上高シェア上位の豪州やブラジルが10%台の伸びで、中国は2%増でしたが、ドイツや日本、フランスなどが減収となりました。
4-6月の為替影響を除外した売上高は8%増で、純利益は9%増でした。売上高は、価格が3%pt、販売量が5%ptの寄与でした。販売量は新製品が6%pt、主要な皮膚薬が2%ptのプラス寄与となりましたが、一部の製品が3%ptのマイナスとなりました。供給問題やジェネリック製品との競争が響きましたが、会社は「予想していた通りの販売量減少だった」としています。税引き前利益は5%増の6.7億ドルで、利益率は前年同期の32.6%に対して32.7%と健闘しました。販売管理費の伸びを7%増に抑えています。
コンパニオンアニマル部門は11%増収でした。犬・猫が12%増、馬は7%減でした。新製品は犬用の寄生虫治療薬の「Simparica Trio」の売上高が為替影響除外ベースで72%の2.37億ドルと好調で、皮膚薬は「Apoquel」と「Cytopoint」が16%増の3.15億ドルでした。犬と猫用の変形性関節症向け治療薬の「Librela」と「Solensia」は3,100万ドルでした。
一方で、「Simpatico Trio」の競合薬が米国で今後6ヶ月以内に承認され、2023年に上位される可能性があると会社は述べました。会社は、力強い製品力や実証済みの効能、米国内外の消費者向け市場のマーケティングによって成長が継続できると見ています。ゾエティスはペットや家畜用医薬品でシェア首位のため、そう易々と競争に敗れることはないと思いますが、どの程度の影響を受ける可能性があるのか、警戒が強まる局面がありそうです。「Apoquel」と「Cytopoint」は2023年前半まで競合役は存在しないとしています。
会社は新薬として、「Apoquel Chewable Tablets」の承認をEUや英国に続いてメキシコやNZで承認を取得し、「Simparica Trio」はカナダで承認されました。また6月に、ペットケア向け遺伝子事業のBasepawsを買収しました。ペットの病気などについてより多くの知見を得るための遺伝子テストや分析を行う企業です。
ライブストック部門は4%減収で、1-3月期に続いてマイナスでした。ジェネリック薬品(牛向けの「Draxxin」や「Zoamix」に逆風)やウクライナ戦争、中国ロックダウンの影響を受けています。牛が4%減、豚が11%減、家禽は10%減で、魚は21%増でした。
診断事業は9%減収となりましたが、新しいセールスチームの立ち上げが影響しています。新しいチームが稼働することで、2022年の残りの期間は勢いを取り戻し、長期的な成長ドライバーになると会社は予想しています。米国では2019年と比べてペットの数は5%増えており、ペット病院の収入は2019年比較で20%増えていることから、今後も安定需要を期待しているようです。ペットオーナーは、ミレニアル世代とGen Z世代が増加を牽引していると述べています。