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再生エネ発電のネクステラが2.7%高、「当社ほど良好なポジションにつけている企業はいない」と自信を示す

再生エネ発電最大手のネクステラエナジー(NEE)が6日に2.7%高となり、年初来高値圏を再び探ろうかという動きを見せました(前年末比では6%安)。

先日アメリカで成立した「インフレ抑制法」を改めて好感する動きが出ているようです。同社は7日にはバークレイズのエネルギーカンファレンスにCEOが登壇予定となっており、同法成立を受けた会社側のスタンスが聞ける機会として投資家の注目は高いと推測されます。

カンファレンスの資料は、6日に公開されています。基本的には従来計画通り、長期的な業績拡大計画を記していますが、インフレ抑制法に関しては「当社ほど幅広い再生エネルギー機会に対して良好なポジションにつけている企業はいない」と自信に満ちたコメントをしています。

同社としては、太陽光と風力発電の生産税(PTC)控除期間が2032年まで、またはアメリカの発電における温室効果ガスの排出量比率2022年比から75%削減されるまでのいずれか長い期間まで延長されたことや、太陽光、風力や再生可能天然ガス(RNG)、蓄電の投資に対する税額控除の延長(ITC。同様に2032年までが75%減に達するまでのいずれか長い期間まで)などが盛り込まれたことが業界全体の大きな成長ドライバーになると見ています。

2050年に米国経済が脱炭素化を実現するには、2021年の米国の再生可能発電と蓄電能力=約210GWから、2050年に約7,000GW(約4兆ドル)に増やす必要があると同社は推計しています(電力業界の脱炭素化には2050年に約3,550GW=約2兆ドルが必要と試算)。2021年の能力から約33倍(約17倍)が必要になる計算です。

同社は今後も風力や太陽光発電、蓄電への投資を増やしていく計画です。インフレ抑制法は、15%の裁定法人税率や処方箋薬科改革などで向こう10年間で7,370億ドルの歳入を産みつつ、エネルギー安全保障や気候変動対策に3,690億ドル、医療保険制度改革法の延長に640億ドルなどを支出し、歳出を4,370億ドルとし、差し引き3,000億ドル以上の財政赤字を削減することを目指す法律です。

このうち、エネルギー安全保障や気候変動対策には、中低所得者のクリーンエネルギー自動車購入に対して最大4,000ドル(中古車)もしくは最大7,500ドル(新車)の税額控除や、米国でのソーラーパネルや風力タービン、バッテリー製造などで総額300億ドルのPTC、州や電力会社を対象としたクリーン電力やエネルギー貯蔵に対する税額控除などをもたらします。これに基づくと、NEEが生産する再生可能エネルギーや発電投資に対して税額控除が生まれることになります。

以上を踏まえ、NEEは2025年度までの調整後EPSの見通しを示しています。今期2.80~2.90ドル見通しに対して、2025年度は3.45~3.70ドルとしています(従来の長期計画を維持しています)。1株あたり配当は、2024年度まで少なくとも年率約10%の増配を計画しています(同様に維持しています)。

6日はバンク・オブ・」メリルリンチが「インフレ抑制法の最大の恩恵受益者」として、NEEを高評価する見方を示したレポートを発行したことが株価上昇に大きく寄与したようです。NEEの再生可能エネルギー分野の成長は、まだ株価に十分に織り込まれていないとの分析をしています。

なお、インフレ抑制法では、10年間でクリーン水素の生産税控除が1kg当たり3ドルと制定されており、これに関しては8月下旬にプラグパワー(PLUG)も好意的な見方を示すなど、水素発電に向けた投資や水素需要の拡大も期待できることになりそうです。

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