決算発表翌日、18日のホームデポ株は3%を超える下落率となっています。
4月の住宅建設許可件数が冴えなかったほか、同業のロウズ(LOW)の決算が低調でした(また、市場全体のベアマーケットラリーからの反動売りも出ていると推察されます)。ただし、ロウズとホームデポは顧客属性がやや異なる面があり、個人的にはホームデポの方が個人消費の減少に対する耐性があると分析しています。
ロウズは売上高の約75%がDIY、つまり消費者であるため、天候要因の影響を受けやすいです。今年は4月が低温だったため、ホームデポのロウズ同様、マイナスの影響を受けたとしています。ただし、ホームデポはプロ顧客とDIYが50:50程度で(DIY顧客の90%以上は住宅保有者)、2-4月期はプロ顧客の成長が業績を牽引しました。
3月、4月と米国の既存店売上高はマイナス成長でしたが、概ね特殊要因であることを踏まえれば、あまり心配はしていません。買収したHDサプライを含め、プロ向け顧客に強い事業モデルのため、個人の住宅購入や補修に過度に依存しない、バランスの取れた収益構造を構築できていると思われます。
電話会議の中では、金利上昇影響に関する発言が興味深かったです。
- ホームデポの対象市場規模は米国で住宅1.3億戸、カナダは4,000~5,000万戸
- 1.3億のうち販売されているのは4~5%。つまり約95%は住み続けている物件である
- 約40%はローン借入のない住宅であり、ローン支払い中の住宅の約93%は固定金利である
- 従って、ホームデポの対象市場の多くは金利変動の影響を受けにくい層である
- 住宅保有者はより固定金利(低金利)で支払いをロックインする傾向にある一方、住宅価格の値上がりを受けてリフォームからの転売で利益を得やすい構造となっている
また、個々のポイントについては以下のようなポイントが話されました。
- イノベーションが好調: 商品棚に並んでいる約90%の商品は新製品である
- 14の商品部門のうち11が増収だった: 建築資材、配管、取り付け家具、ペンキが牽引
- 季節性商品は2桁%台の減収となった: 春の到来が遅れたことが理由。家電は小幅な減収
- 購入単価の11.2%上昇はインフレの影響(2.4%ptの上昇は木材など主要コモでティ製品の値上げによる)と新製品やイノベーション製品が牽引
- 来客数の8.4%減少は春の到来遅れと前年の景気刺激策効果の反動が原因
- 米国の既存店売上高(1.7%増収)は2月は12.5%増、3月は0.3%減(景気刺激策の反動)、4月に2.9%減(春の到来遅れ)だった
- 購入単価1,000ドル以上の顧客の来店数は12.4%増加: 配管や石膏、ファスナーなどプロ顧客向けカテゴリが牽引した
- 2~3年成長率で見れば、購入単価と来客数は共に好調だった
- プロ顧客が増えており受注残は好調: 建築資材やフローリングなどの売上が強い。シャワーやカウンタートップキッチン向けなど2桁%台の成長を記録
- 第 1 四半期中は多くの消費者がより大きな改装・ 改築プロジェクトをプロ顧客に依頼するようになった
- デジタル売上高は3.7%増加: 注文の50%以上は実店舗で処理された
- 効率化: 賃金や輸送コストは増加しているが営業費用は概ね前年同期並みを保った
- MRO(メンテナンス・補修)市場のアクセス可能規模は1,000億ドル程度で、ホームデポのシェアは10%未満である