資本財コングロマリットのハネウェルは4−6月期決算と同時に、通気見通しを上方修正しました。今季売上高は346-352億ドルのレンジとし、前期の326.4億ドルから増収を見込んでいます。既存事業ベース売上高は前期比で4-6%増をみています。
航空宇宙部門の売上高が前年同期比で9%増収と、増収に転じました。もっとも、商用旅客機の需要回復はまだ道半ばです。直近では、感染を警戒してファーストクラス客などがビジネスジェットに乗り換えており、ビジネスジェットの飛行時間はすでに2019年水準を回復しているとハネウェルは述べています。
一般的な旅客機の飛行時間は今後2-3年で20%程度の回復が予想され、2024年までに2019年水準を回復すると見込んでいます。
経営陣は、エンドマーケット市場のマクロ環境は、直近10年以上で最高の状態と述べています。旅客機需要の回復が想定されるほか、エネルギー業界での設備投資の増加(下流部門顧客は今後2-3年で年平均6.5%増を予想)、アメリカなどでの住宅以外の建設需要の増加や今後のインフラ投資計画の追い風、そしてEコマース需要の拡大(2024年までに小売売上高の約30%を占めると同社は予想)を上げています。
これらは、ハネウェルの主要4セグメントにプラスに寄与することが期待されます。このほかでは、6月に量子コンピューティングで新設会社の設立を発表していますが、2-5年以内に商用規模への道筋が加速し、約10億ドルの売上高を見込んでいます。グーグルやBMWなど、いくつかの大型企業・顧客と取引関係にあり、同社は世界最速の計算能力を誇るとしています。
事業で課題としていえるのは、防衛関連です。航空宇宙セグメントの中に含まれますが、政府支出は当面弱い状況が続くようで、下半期は減少を見込んでいます。また、Eコマース向けなどで大きく成長が続いてきた倉庫やワークフローソリューションは、大型プロジェクトが完了したことにより、今後は前四半期と比べるとやや減速するとみています。
こうした一部ピークアウト的な動きも予想されますが、旅行需要の回復、インフラ投資需要の拡大などがアップサイドポテンシャルとして大きく期待できそうです。