石油サービスのシュルンベルジェ(SLB)が19日に発表した2023年度4Q(10-12月期)決算は、収入が+14%の89.9億ドル、調整後EPSが+21%の0.86ドルで、共に市場予想を上回りました
フリーキャッシュフローが22.8億ドルで、市場予想の13.2億ドルを上回ったことも好感され、19日の株価は+2.2%の49.64ドルした。テック人気でエネルギー株に物色が向かわない中、反発の兆しをみせました
地政学リスクの影響は限定的
セグメント別収入では、生産システムが+33%(29.4億ドル)、貯留層評価が+12%(17.4億ドル)と特に堅調で、油井建設は+6%(34.3億ドル)、デジタル・インテグレーションは+4%(10.5億ドル)でした
地域別収入は、北米外が+18%の72.9億ドルと好調で、北米は+0.5%の16.4億ドルでした
北米外は、主力の中東・アジアが+25%の31.4億ドルと高い伸びでした。サウジアラビアやUAE、エジプトなどが堅調で、中東情勢懸念の影響が限定的だったことが示唆(ポジティブ)されました
インドや中国、マレーシア、インドネシなどは新規ガス探査と開発が進行中です。米国外は総じてオフショアが好調でした。
AIも成長に寄与
デジタル需要として、データやAIの活用も進んでいます。Delfiシステムのユーザー数は6,000を超え、コンピュート時間は1.25億時間と、前年同期比で+40%以上でした
デジタルの年間収入は20億ドル超となり、クラウド、エッジ、AIで構成される新技術プラットフォームは2021年以降、年率平均+60%となっています
Delfi概要 https://jp.slb.com/products-services/software/delfi
2024年度の調整後EBITDAは+10%台半ば
2024~2025年にグローバルで1,000億ドル超のオフショアのFID(最終投資決定)がなされると予想しており、力強い成長の継続を見込んでいます
2024年の収入は、米国外は中東、アジア、欧州、アフリカが牽引し、前期比+10%台半ばと見ています。北米は1桁%台半ばの成長を見込んでいます
会社全体の調整後EBITDAは+10%台半ばを予想しています
2024年度の株主還元は+25%超 10%増配
こうした成長継続を見込んで配当と自社株買いを2024年に増やすとし、2024年の株主還元額は25億ドル以上(2023年度比+25%以上)を計画しています
1株当たり四半期配当は0.25ドルから0.275ドルへ10%増配すると発表しました
コロナ直後は60%減配となり、まだコロナ前の配当水準(年間1.25ドル)は回復できていませんが、今回の増配(年間1.10ドル)でコロナ前にあと1割ほどとなっています
市場予想では、調整後EPSは今期、来期共に20%近い成長率が予想されています
決算発表後、アナリストからは目標株価の引き上げが優勢で、68.38ドルがコンセンサスです