サーモフィッシャーが10日の引け後に、40億ドル規模の自社株買い枠を取締役会が承認したと発表しました。
11日の時価総額(2,112億ドル)の1.9%となります。
10月31日には、2022年10-12月期に10億ドルの自社株買いを実施すると発表していました。これによって2022年度累計で30億ドル(前期は20億ドル)となる見込みです。
同日に、特殊診断のグローバルリーダーであるBinding Site Groupを26億ドル相当で買収することで合意したとも発表しています。
同社は昨年に治験大手のPPDを買収するなど、買収戦略を進めています。PPDは2022年度通期の売上高が68億ドル(全社売上高の会社予想は438億ドル)、調整後EPSは2.03ドル(同23.01ドル)になる見通しと、全社EPSの10%超を占める重要事業となっていますが、採算性は低いため今期は減益で推移しています(前年のCOVID検査薬の反動減も大きくマイナスに寄与)。
2022年7-9月期決算は、売上高が前年同期比14%増、調整後EPSは12%減でした。買収やCOVID検査薬、為替営業などを除外したコア事業のオーガニック売上高成長率は14%増でした。
そうした中、競合企業がバイオプロセッシング(細胞培養)事業の減速を示唆したことで、TMO株も冴えない展開が続いています。IPO市場が機能していないことから、バイオ医薬品企業の活動が停滞し、TMOを含む医療機器企業の逆風となっている可能性があります。
ただし、TMO自身は決算発表では、バイオプロセッシングについては特段ネガティブな見通しは示していませんでした。株価は下げが先行していた銘柄の部類に入るため、今週はCPI以降の戻り相場で、昨年夏以来の安値圏にあった株価は、11日にかけて反発基調となりました。