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アップルは中国苦戦も利益の質はキープ AIや新製品に注目

アップル(AAPL)の2024年度1Q(10-12月期)決算はiPhone売上高が好調だったものの、懸念されていた大中華圏が想定以上の減収となり、1日の時間外取引では終値比で3%ほど下落しました

iPhone頼みの傾向は続いていますが、稼働端末台数は増加基調で、利益の質はキープできています。高単価iPhoneの寄与もあり、利益率は最高水準にあります

iPhoneは6%増収、稼働端末台数は22億台に

全社売上高は+2%の1,196億ドル、希薄化後EPSは+16%の2.18ドルで、市場予想の1,180億ドル、2.11ドルを共に上回りました。なお、1Qは13週間で、前年同期からは1週間少なかったです

iPhoneの売上高比率は年末商戦にあたったことで、58%に上昇しました。売上高は+6%の697億ドルで、市場予想の685.5億ドルを上回りました

iPhoneの稼働端末台数は過去最高を更新し、アップグレード数も過去最高を記録しました。先進国から新興国に至る多くの国で過去最高や10-12月期としての過去最高売上高を更新し、iPhone需要の強さは広範なものになっていると説明されました

Macは増収に転じたものの、iPadやウェアラブルは前年同期のハードルの高さから減収でした。7-9月期決算発表時に会社が示した見通しに近い傾向となりました

アップル全製品の稼働端末台数は22億台となりました。これまで1年以上、20億台超でしたが、新しい数字(増加)が示されました。アップル経済圏の拡大が続いていることが確認できました

サービスは11%増収 過去最高を更新

サービスは+11%の231億ドルで、市場予想の233.7億ドルは下回りましたが、四半期の最高収入となりました

広告、クラウド、決済、ビデオも過去最高となり、App StoreとAppleCareは10-12月期の過去最高収入を記録しました

大中華圏は-12%に大幅悪化、スマホは販売上位を寡占

地域別売上高は日本が+15.0%、欧州も高い伸びとなりました。米州も+2.3%とプラスでしたが、大中華圏は-12.3%と大幅に悪化しました

中国市場の詳細については語られませんでしたが、中国都市部のスマホ販売数トップ6機種のうち4機種がiPhoneだったと説明しました

新興国は多くの国で2桁%台の増収となり、マレーシア、メキシコ、フィリピン、ポーランド、トルコが四半期の過去最高売上高、インド、インドネシア、サウジアラビア、チリは10-12月期の過去最高売上高となりました

利益率は最高水準に、高単価iPhoneも寄与

成長減速が囁かれているアップルではありますが、利益率は着実に上昇基調にあります

営業利益率は33.8%、粗利益率は45.9%と直近の最高水準でした。製品セグメントの粗利益率も上昇しており、全体的に利益率が拡大基調にあるのは目を引きます

為替変動は逆風でしたが、レバレッジや販売構成の変化(より利益率の高い製品やサービスの構成比率が上昇)がポジティブに寄与しました。高単価のiPhone販売が好調なことも貢献しています

設備投資は減少傾向でキャッシュが積み上がる

フリーキャッシュフローは+24%の375億ドルでした。設備投資が-37%の24億ドルと減少基調が続いており、その分キャッシュが積み上がっています。現金および現金同等物は1,726億ドルと増加に転じました

株主還元は+3%の240億ドルで、自社株買いは+3%の201億ドルでした

2024年1-3月期見通し: 市場予想に対して弱め

2024年度2Q(1-3月期)の見通しは、全社とiPhone売上高は前年同期並みを見込んでいます。ただし、前年同期とは、供給制約からの回復(約50億ドルの増収要因)を除いたベースとしています

前年同期の売上高は948.4億ドルでしたので、約50億ドルを除いた900億ドル程度の売上高を1-3月期としてアップルは想定していることになります

市場予想は957.7億ドルでしたので、会社見通しは弱い印象です

サービス収入は、今回の1Q並みの2桁%台の増収率を見込んでいます

今後の注目点: AIやVision Proの企業ニーズ開拓

電話会議では生成AIに関して、年後半に取り組みを発表できるだろうとのコメントがありました

まずは6月のWWDCでそのさわりが示されるか、注目されます。アップルの生成AIはiPhoneなど端末の使い勝手を高めることが想像されますが(例:メールや動画の自動作成)、2日に発売されるVision Proは、生成AIが活躍する場として注目されるかもしれません

Vision Proは製造業や医療、娯楽業界など、多種多様な業界で利用される可能性は十分ありそうです。Vision ProはWalmart、Nike、バンガード、ストライカー、Bloomberg、SAPなどが自社の顧客や従業員に空間コンピューティングを提供するためにVision Proに投資をしていると説明されました

クックCEOはVision Proの使用ケースは無数にあるとし、100万ものアプリの提供で開始すると述べました。MacやiPadが法人でも利用されたように、Vision Proも法人ニーズで大きな機会があるとしています

法人・商用向けで真価を発揮するには、アプリやAIの活用が重要になると思われ、AI機能の拡充をアップルが発表するかに大いに注目したいと思います

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