11日に米10年国債利回りが2.7%台後半、実質金利がマイナス0.10%近辺まで縮小する中、エヌビディア株が5%安、年初来安値に迫る下げとなっています。
個別材料では、ベアードが目標株価を360ドルから225ドルに下げました。消費者向けGPUでキャンセルが増えているとしています。西欧やアジア、特に中国で減速がみられているようです。ロシア・ウクライナ情勢による悪影響も想定より大きいとしています。
一方、データセンター向けは引き続き堅調としています。
エヌビディアは11-1月期のゲーミングとデータセンター向け売上高はほぼ同額となっています(34と33億ドル)。消費者向けが落ち込めば確かにネガティブですが、2018年時と比べてデータセンターの寄与率が高まっており、今後はメタバースや自動車向けソフトウェアが新たな成長機会(同社は長期の対象市場の30%以上をソフトウェアと見込む)が期待されることから、私はビットコイン向けマイニングGPUの急激な反動減にも見舞われた2018年のような惨事にはならないとみています。
アナリストの目標株価コンセンサスは341.15ドル(177.50〜400ドル)となっています。
今期予想PERは38倍、PEGは1.3倍。今期フリーキャッシュフロー利回りは2.2%。業績減速感が意識され、長期金利が一段と伸びる中では、バリュエーション面のサポートは見出し難い状況です。
ここまで株価が下がってくると期待されるのは自社株買いです。同社は長期債務の約2倍の現金を持つ実質無借金経営で、ARM買収断念で株主還元への使途が増えるか注目されます。