MRVL

EVでも注目したいマーベル・テクノロジー

米国株式市場はFRBの金融引き締め観測の強まりを背景に厳しい展開が続いていますが、オミクロン変異株は米国で感染ペース鈍化の兆しが出ており、景気後退懸念が高まるといった事態には至らないでしょう。

足元でエネルギーだけでなく、資本財・サービスなどの景気敏感業種も底堅い値動きとなっており(テックからのローテーションもありますが)、2022年はFRBの政策に要注意といえども景気が大きく後退するリスクは低いでしょう。

着実に需要拡大が期待できる業種や銘柄への押し目買いを進めていく方針です。

自動車の電動化で期待されるイーサネット需要

年初から盛り上がりを見せているテーマに、EV(電気自動車)があります。テスラの10−12月期販売が好調だったほか、フォードは「150 Lightning」の増産方針を示しています。中国は補助金延長が押上要因となっていますが、当面はEV市場の高需要が期待できそうです。

EV関連銘柄は多岐に当たりますが、今回はEV車体内部のイーサネット需要にフォーカスしています。

自動車の電動化が影響をもたらすのは、ガソリンに代わるモーターや駆動系部分だけではありません。今後、自動運転や安全運転への取り組みが進むことで、カメラやセンサーなど様々な機器からのデータを収集し、自動車内で処理、判断するといった動きが加速するでしょう。

よく表現される言葉として、将来の自動車は「走るスマホ」、「タイヤの上にコンピュータが乗ったもの」と称されますが、大いに賛同します。自動車の基本的な走行機能が実現できれば、「Apple Car」の観測が強まっているアップルやソニーなど、従来の自動車メーカー以外の企業が、EVや自動運転車に参入することには現実味があります。

走行に関するデータの処理は、クラウド経由だけで行う訳にはいかないでしょう。タイムロスが生じて、重大な事故につながる恐れがあるからです。

自動車内での処理や判断を行う必要がありますが、そのためにはカメラやプロセッサなどに加え、データストレージや伝送路(回線)も確保する必要があります。

マーベルは5G基地局やデータセンターの内部の通信高速化、基地局・データセンター同士の通信やバックボーンの通信高速化などに関する半導体を幅広く提供していますが(広義の通信インフラ向けソリューションを提供)、こうした自動車内での様々な機器間を繋ぐための伝送路やケーブルも提供しています。そして、自動車向けの通信としてまずはイーサネット需要を見込んでいます。

自動車売上高は2年で7倍になる見通し

マーベルは自動車向けイーサネットが「次の10億ドル市場と見ています。同社によれば、自動車向けイーサネットのポートの出荷は2018年から2026年にかけて年率平均39%成長を見込んでいます(2018年から2026年で14倍弱へ成長)。

既に自動車1台当たりのイーサネット搭載量は増加しています。OEMメーカー(トヨタなどの完成車)は5〜8.5ドル程度が通常のようですが、イーサネットを多く搭載する自動車は47〜72ドルと数倍以上に増えるとしています。

AudiやBMW、テスラ、トヨタ、VWなど、主要自動車メーカーがほぼ同社のイーサネットソリューション(1GB〜10GB)を採用しています。28のOEMメーカーへのデザイン提供を獲得しており、上位10メーカーのうち7社が採用しています。

マーベルの自動車売上高は2022年に、2020年の約7倍になると見込んでいます。

5G/クラウド・データセンター/自動車で売上高は3年で1.5倍に

また、EVや自動運転への取り組みが進んでくれば、当然クラウド・データセンター向け売上高も大きく伸びることが期待されます。マーベルはデーセンターに最適化されたシリコンソリューションで攻勢を強めています。自動車向けのコンピューティング用事業機会は、2021年の15億ドルに対して、2028年は53億ドルを見込んでいます。

マーベルは目先、5Gの成長拡大も期待されます。現在、世界のスマートフォン販売に占める5Gの比率は43%に達していますが、ネットワークのアップグレードは27%、実際にサービスが利用できるのは11%程度に留まっています。特にインフラ側のアップグレードが今後も続くと想定され、マーベルへの追い風になります。

2021年の全社売上高は約200億ドルで、クラウド・5G・自動車が109億ドル、その他インフラが79億ドル、コンシューマーが15億ドルです。

これが2024年には300億ドル、内訳はクラウド・5G・自動車が189億ドル(年率平均20%成長)、その他インフラが88億ドル(同4%成長)、コンシューマーが18億ドル(同6%成長)としています。

2021年のインベスターデイ時点で、長期的にはエンドマーケットは年率平均15〜20%成長、粗利率は64-66%、フリーキャッシュフローマージンは30%以上を予想しています。これは2020年のインベスターデイで想定していた10-15%成長、63-65%、30%以上から上方修正されています。

5G、クラウド、そして自動車。今後も堅調な成長が期待されるこれらの分野にバランスよく投資する上で、マーベル・テクノロジーが有力候補になるでしょう。

-MRVL

© 2024 とらいの外国株投資ブログ Powered by AFFINGER5