AT&T(T)が、Warner Mediaのスピンオフに伴い、年間1株当たり配当を2.08ドルから1.11ドルへ下方修正しました。
昨年5月のメディア事業切り離しの発表から、将来的な減配がマーケットでは織り込まれてきました。具体的な額は定まっていなかったため、発表を受けて1日の市場では株価下落が予想されます。
新配当予想に基づく配当利回りは、4.4%です(1月31日終値時点)。事業が純粋な通信会社という位置付けに戻ることから、同業であるベライゾンの配当利回り約4.8%が意識される株価展開(23.1ドル)が想定されます。
ただし、売却したWarner Mediaが売却先のディスカバリーと合併して、その後上場する新会社(WBD)の株式0.24株をAT&T株主は受け取れるため、配当利回り4.8%までの株価下落には至らない可能性はありますが、ベライゾンよりも成長確度への期待が高まらなければ、配当利回り5%台での取引は十分想定されるでしょう。当面は20-25ドルの推移が続くと予想します。
中期的な株価の方向性は、言うまでもなく今後の通信事業の行方次第でしょう。先日の2021年10-12月期決算では、当初は携帯ユーザーの加入者純増が好感されましたが、2021年のペースの拡大は2022年は見込みづらいとの会社見通しが大きく嫌気され、株価は下落しました。
今回の発表内容の概要は、以下の通りです。
・AT&TはWarner Mediaのディスカバリーへ売却し(2022年4-6月期を予定)、Warner Mediaとディスカバリーは2022年4-6月期に合併予定。合併後の新会社名称はWarner Bros. Discovery、ティッカーはWBDとなる
・AT&Tは年間配当額を1.11ドルとする(予想されるフリーキャッシュフローに対する約40%の配当性向をベースとした金額)。配当支払い総額は約80億ドルとなる。減配は、今後の5Gや光ファイバーなどの成長機会への投資をサポートする
・AT&Tは本売却によって、43億ドルを現金等で受領する(金額は運転資本やその他調整に基づく)
・AT&T株主は、WBDの株式の約71%を受け取る(税金不要)。AT&T1株に対して、WBD0.24株を受領する予定だが、最終的な受領株式数は本取引の成立が近づくにつれて最終決定される
・AT&T株主は、現在所有する株式数を継続して所有する
・AT&Tは調整後EBITDAに対する純負債額の比率は2023年末時点で2.5倍を想定している
・AT&Tは3月11日のカンファレンスで、財務やオペレーションに対する追加的な情報を提供する