半導体電子設計ソフトのケイデンス・デザインシステムズ(CDNS)が23日引け後に発表した2023年度3Q(7-9月期)は、売上高が+13%の10.2億ドル(市場予想10.1億ドル)、調整後EPSは+19%の1.26ドル(同1.22ドル)で共に市場予想を上回りました。
しかし、4Q(10-12月期)見通しが市場予想を下回りました。
売上高は10.39億~10.79億ドル(市場予想は10.73億ドル)、調整後EPSは1.30~1.36ドル(同1.37ドル)としています。
通期見通しは売上高を40.6億~41.0億ドル(同40.8億ドル)、調整後EPSは5.07~5.13ドル(同5.08ドル)へ上方修正(前四半期に続いて上方修正)し、こちらは市場予想を上回りました。
24日寄り前の株価は3.3%安です。
見通しに対して株価の反応は売り先行になりそうですが、業績や事業環境については特段ネガティブ視される状況にはなさそうです。
多くの半導体企業が減収や減益となるなか、同社は引き続き拡大中で調整後EPSはむしろ増益基調にあります。
電話会議でCDNSは、マクロ経済環境における不確実性にもかかわらず、 AIや超大型コンピューティング、5G、自律走行などの変革的な世代トレンドにけん引されて、設計活動は引き続き堅調に推移していると述べました。
3D-IC やチップレット設計の増加、システム企業によるカスタムシリコンの構築といったトレンドも加速しているとのことです。
CDNSはAI設計ソリューションも導入しており、生成 AIプラットフォーム「JedAI」の勢いが増していると指摘しました。まだ初期段階であるものの、生成AIソリューションの売上高は2022年の1年間で約3倍になりました。
EDAによる設計効率化に関しては、20~30年前と比べて100倍くらい効率化しているとのことです。
1990年代後半は500人くらいのエンジニアで5年くらいかけていた設計業務が、今は50人くらいで6~12ヶ月で設計し終えるようです。そして、AIを設計業務に活用することで、設計が新しいレベルの効率化段階に向かうことが期待されるとしています。
アップル、テスラに続き、ブロードコムも同社製品の採用を加速させているとの説明がありました。ルネサスとの協業により、LLM機能をチップの設計に活用する取り組みも進めており、引き続きAI時代の半導体設計の牽引役であることを強調しました。
米国の対中制裁については、見通しに最新の制裁内容を含めているが、CDNSの事業は地域的にかなり分散しているので米中問題は大きな業績インパクトにはならないと述べました。