金融情報端末・サービスのファクトセット・リサーチ・システムズ(FDS)から四半期配当金1.29ドル(1ドル=142円換算で180円)を受領しました。
私の保有株数は2株、約11万円と少額ですが、グローバルでの長期的な高齢化や資産運用ニーズの継続から増収・増配が期待できる銘柄として注目しています。
ファクトセットは、ブルームバーグやロイターと並ぶ世界的な金融情報端末・サービス会社です。日本ではQUICKが提携しています。世界の株価や上場銘柄、債券、コモディティなど、様々な金融情報を分析・配信しており、証券会社などではブルームバーグ端末に加え、ファクトセット端末も幅広く導入されています。上場企業の決算では、ブルームバーグと並んで市場予想の集計元機関としても広く知られており、株式ニュースでファクトセット集計の市場コンセンサスは頻繁に引用されています。
この分野での世界No.1はブルームバーグで、非上場ですので情報は限られていますが、非常に寡占的な業界と言えます。世界の年金基金や投資信託、政府系運用機関、一般の証券会社などは情報収集・分析ツールであるブルームバーグやロイター、ファクトセット、日本ではQUICKの利用が必須となっています。他にもMSCIやS&Pグローバル、フィッチ、ムーディーズなど金融情報会社は複数存在しますが、数は限られています。
世界的には、緩やかなペースながら資産運用規模及び投資家の数(私たちのような401Kなどで運用している個人も含みます)が拡大することが見込まれています。高齢化が進む上で、年金運用がなくなることはないでしょうし、一般人がまだ広く投資に精通していないことを踏まえると、個人投資家による株式や債券投資ニーズ(401K含む)は一時的に停滞や減速することはあるとしても、長期的には拡大に向かうと思われます。つまり、「安定成長産業」と言っても過言ではなさそうです。
そうした中、機関投資家を中心に、顧客との長期的なリレーションシップを確立しているブルームバーグやファクトセットの業績は、今後も安定拡大が期待できそうです。ファクトセットはM&Aを繰り返しながら、2022年8月期で42期連続増収、EPSは26期連続増益を記録しています。株価は今年の夏に、昨年末につけた上場来高値にあと数%に迫る水準まで回復するなど、S&P500を大きくアウトパフォームする動きを見せていました。
今2023年度も増収・増益の見通しを9月22日の4Q決算で公表しました。収入は21億~21.15億ドル(2022年度実績は18.4億ドル)、調整後EPSは14.50~14.90ドル(同13.43ドル)としています。顧客は前期末で7,538(21年度末は7,319)、ユーザ数は17万9982(同17万3698)となっています。
収入はサブスクリプションフィーが主軸となっており、4Q(6-8月期)のASV(年間サブスクリプション・バリュー)収入はプロフェッショナルサービスを含めて20.02億ドル、前年同期比19%増でした。買収や為替変動影響、そしてプロフェッショナルサービスを除いたオーガニックASV収入は9%増の18.37億ドルでした。うちバイサイドが83%、セルサイドが17%です。つまり、運用担当者が収入の8割超を占めています。
年間ASV契約の更新率は92%となっています。最近はクラウドを通じたサービス利用増や顧客定着化も見られているようです。
4Qの収入は21%増の4.99億ドル、営業利益は11%増の1.32億ドルで、利益率は26.5%(前年同期は28.9%)でした。収入は総じて好調ですが、調整後EPS(9%増の3.13ドル)が市場予想を下回ったことで、決算直後の株価は最近の傾向の中では珍しく、8%安と急落しました。今期の調整後EPS見通し(前期比8%~11%増)も市場予想と比べて弱めに映り、売り材料となったようです。4Qは収入の21%増に対して、サービス原価が23%増、販売管理費が30%増加とコスト増が先行していました。
現在の市場環境はわずかな市場予想対比でのミスが株価の急落につながりかねない厳しい相場ですが、2023年度が会社計画通りの増益(8~11%増)となるならば、2022年度の9%増益とほぼ同等の成長率となるため、必ずしも利益創出力の大幅低下を意味するものではないと思います。10%近い増益予想に対して今期予想PERは20倍台後半と、株価は割安な水準ではないことから当面の株価は上昇のパワー不足となりそうです。
ただ、ファクトセットはMSCIやS&Pグローバルのように運用資産残高に応じた収入体系ではないため、この難局相場において、投資や人件費増が先行しても増益はしっかりと確保できそうです。
増益により、増配継続も期待されます。配当は26期連続増配中で、配当利回りは0.91%です。