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米国でインフラ工事を手掛けるクアンタ・サービシーズ株を7株、約10万円購入しました。
同社はアメリカ国内の電力インフラやガスパイプライン、再生可能エネルギー設備の工事を手掛けています。
世界的にエネルギー供給の重要性が増す中、長期的に人口・エネルギー需要の拡大が見込まれるアメリカのインフラ建設で強みを持つこと、特に再生可能エネルギーインフラでの評価が高まっている同社に長期的なリターンが期待できると考えています。
- 売上高とEPSは年率2桁%の成長を記録
- アメリカのエネルギーや通信インフラの敷設に寄与
- 顧客当たり売上高は増加基調
- 売上高の約90%が継続的に見込める「ベースビジネス」
- 「ネットゼロ」実現に向けたメガトレンドも追い風に
- 熟練技術者を育成する仕組み
- 3年弱で75%増配
売上高とEPSは年率2桁%の成長を記録
2022年のインベスター・デー資料によると、同社はベース事業の成長、マージンの拡大、提供サービスの拡大、熟練労働者の育成、規律あるバリュー創出と資本活用、と5つの戦略的取り組みを挙げています。
こうした取り組みを通じて、オーガニック売上高は年率5~8%成長、2桁%台の調整後EBITDA利益率、売上高成長率を上回るEPS成長率などを目指しています。は2015〜2022年度(2022年度は予想)の年率平均売上高成長率は12%、調整後EPSの成長率は26%、調整後EBITDA利益率は10.0%(2015年=6.9%)を見込んでいます。
2021年度の売上高のうち米国が85%、カナダが12%、豪州が2%、その他が1%となっています。
2022年1-3月期は収入が前年同期比47%増の40億ドル、調整後EBITDAは57%増の3.5億ドル(利益率8.7%)、調整後EPSは65%増の1.37ドルでした。
アメリカのエネルギーや通信インフラの敷設に寄与
顧客は電力会社(サザン、デューク・エナジー、アメリカンエレクトリック・パワーなど)、再生可能エネルギー発電事業者(ネクステラ・エナジー、EDFなど)、通信事業者(AT&T、ベライゾン、グーグル・ファイバーなど)、地下公益事業者(BP、ドミニオン・エナジーなど)などに分散していて、2021年度売上高で最も多くを占めた顧客は全体売上高の約7%、売上高上位10顧客は約38%を占めました。
基本的に電力やエネルギー事業者は工事を外部企業にアウトソースする傾向にあリマス。クアンタはそうした工事の受託を通じて、アメリカのエネルギーや通信インフラの敷設に大きく寄与しています。
2022年度は電力インフラソリューションが全社売上高の51%、再生可能エネルギーインフラソリューションが24%、地下電力&インフラソリューションが25%を占める見通しです。
顧客当たり売上高は増加基調
アメリカ国内では電力や天然ガス需要など拡大が続いているため、1顧客当たりの発電収入などが拡大しており、さらなるエネルギーや電力インフラ建設の需要につながっています。クアンタの売上高上位20顧客の売上高を見ると、2017~2021年の年率平均売上高成長率は20%となっています。
売上高の約90%が継続的に見込める「ベースビジネス」
アメリカの電力やエネルギーインフラは需要増加とともに拡大が見込まれるため、同社の売上高の約90%は継続的に見込める売上高(ベースビジネス)となっています。2021年度の売上高のうち、約57%が修理・交換・アップグレード、約43%が新規建設でした。
電力インフラソリューションは2022-2026年の年率平均売上高成長率は5~10%、ベースビジネスの比率は約95%、再生可能エネルギーインフラソリューションの年率平均売上高成長率は10~12%、ベースビジネス比率は約90%、地下電力&インフラソリューションの年率平均売上高成長率は5~7%、ベースビジネス比率は約90%の見通しです。
「ネットゼロ」実現に向けたメガトレンドも追い風に
クアンタは再生可能エネルギーインフラの建設も手がているため、「ネットゼロ」に向けた政府や電力業界の取り組みがさらなる増収機会につながります。ゴールドマンサックスが試算するネットゼロに向けた事業機会(CO2回収、蓄電池や電力グリッド、EV充電器設置など)は合計で3兆ドルのアクセス可能市場規模となっています。また、世界で電力グリッドの投資も拡大する見込みで、ブルームバーグNEFの試算では2050年で14兆ドル規模が見込まれています。
クアンタは2021年10月に再生可能エネルギー発電インフラソリューションでリーダー的ポジションにあるBlattner Energy社の買収を完了しました。Blattnerは北米で400超の風力やソーラー発電、蓄電プロジェクトの建設に従事しています。米国でこれまでに敷設された200GW相当の事業規模の再生可能エネルギーのうち、50GW超をBlattnerが手がけています。
熟練技術者を育成する仕組み
売上高を伸ばすためには、人手不足が深刻化する中、工事技術者を獲得し続ける仕組みが必要です。クアンタは毎年1.5億ドルをトレーニングや安全対策に充てているほか、2018年には電線工事員などを養成する大学(Northwest Lineman College。28年間育成プログラムを提供)を傘下に納めることで人員確保に努めています。
自社でもトレーニング施設を有しており、2021年までで累計1万6000人を育成してきました。2021年末の同社従業員数は4万3700人で、2016年から55%増えています。
3年弱で75%増配
同社は2019年1-3月期に四半期配当を開始し、以来、75%増配となっています。2022年1-3月期の配当支払額は前年同期比23%増の1,100万ドルでした。