ユニティ・ソフトウェアが13日の寄り前市場で16%安となっています。
先ほど、アプリ分析プラットフォームを提供するアイロンソース(IS)を株式交換で買収・合併すると発表しました。買収総額は約44億ドルで、ISの30日移動平均株価に対して74%のプレミアムを載せています。
買収に伴い、2024年までに年間10億ドルの調整後EBITDAを創出できるとしています(売上高は両者の2022年度予想の単純合算で20.5億~21.3億ドル)。また、3年目までに年間3億ドルのEBITDAシナジーを見込んでいます。買収・合併は、規制当局や株主の賛同を条件に2022年10-12月期中の成立を想定しています。
ISはユニティの完全子会社による見通しで、買収後にユニティの既存株主はIS株の約73.5%、合併後企業の約26.5%を保有することになります。シームレスなリアルタイム3Dコンテンツの生成や収益化支援に向けた取り組みを加速していくことを合併の目的としています。
ユニティは1-3月期決算発表時に、広告モデルのアルゴリズムの不具合(誤ったデータの取り込み)で業績もメンタムが大きく失速しました。そうした中、ゲームなどのアプリの収益化や広告効果測定・分析プラットフォームを手がけるISを取り込むことで、デベロッパーのゲームアプリなどに対する収益性の強化を支援することができるとの狙いがありそうです。
アイロンソース社 https://www.is.com/ja/
ユニティは合わせて、2022年12月期の売上高見通しを13.0億~13.5億ドルに下方修正しました。従来予想は13.5億~14.25億ドルでした。現在のマクロトレンドや製品立ち上げ、収益化ソリューションの競争環境の変化などの状況を反映したことを理由としています。4-6月期は従来予想(2.9億~2.95億ドル)のレンジ上限をやや上回る見込みとしています。
また、24ヶ月間で最大25億ドルの自社株買い実施枠を取締役会が承認しました。現在のユニティの時価総額の25%近くになります。同枠は、買収・合併成立後に有効となります。
さらに、VCのシルバーレイクとセコイヤがユニティの転換社債10億ドル分を購入することを決定したとしています。転換価格は48.89ドルで、2027年までに年間2%の利率となります。現在のユニティの時価総額に対して、10%近い希薄化要因となります。
ISの2022年1-3月期売上高は、前年同期比58%増の1.9億ドル、営業利益は13%増の1,679万ドルでした。2022年度の通期売上高は7.5億~7.8億ドル(前期比36~41%増)の見通しで、今回の発表において同見通しは据え置いています。
ユニティの1-3月期売上高は36%増の3.2億ドル、調整後営業損益は2,295万ドルの赤字でした。両者の2022年度の予想売上高は単純合算すると、20.5億~21.3億ドルとなります。ユニティの時価総額は118億ドル、ISは23億ドルです。PSR(株価売上高倍率)は約7倍になります。