目次
ブロードコム(AVGO)の2024年度2Q(2-4月期)決算は市場予想を上回りました
AI関連売上高は四半期の過去最高を更新しました
通期売上高見通しは上方修正しました
7月11日終了時点の株式に対して、7月15日からの1:10分割も発表しました
時間外で株価は終値比+10.2%の1648ドルとなっています
2024年度2Q決算
調整後EPSは6%増 市場予想を上回る
売上高は+43%の124.9億ドル(前四半期よりVMウェア買収を反映し大幅増収)で、市場予想の121億ドルを上回りました
営業利益は買収に伴う償却費計上などで-26%の29.7億ドルと、前四半期に続いて減益でしたが、調整後EBITDAは+31%の74.3億ドルでした(前四半期は+26%)
調整後EPSは+6%の10.96ドルで、市場予想の10.80ドルを上回りました
営業利益率は23.7% 前四半期比で改善
営業利益率は23.7%と前四半期から改善しました
調整後EBITDA利益率は-5.6%ptの59.5%でした
半導体ソリューションは6%増収 AI売上高が過去最高
セグメント売上高は、半導体ソリューションは+6%、インフラソフトウェアは+175%でした
半導体ソリューションは前四半期の+4%から加速しました
ホック・タンCEO兼社長は、「再び AI 需要と VMware に牽引された。AI 製品からの収益は2Qに 31 億ドル(過去最高)を記録した。より多くの企業が VMware のソフトウェアスタックを採用して独自のプライベートクラウドを構築したため、インフラストラクチャソフトウェアの収益が加速した」としています
2QのAI 関連売上高が全社に占める比率は25%で、前期通期の15%を上回ります
2024年度には35%(100億ドル超)に達するとの見通しを示しています
半導体ソリューション(内訳)
※内訳は電話会議で公表のため現時点では最新値は未入力
フリーキャッシュフローは2%増
フリーキャッシュフローは+2%の44.5億ドル、前四半期で買収のために大きく膨らんだ有利子負債は前四半期比で-3%でした
自社株買いはゼロ
自社株買いはありませんでした
配当支払いは+28%でした
株主還元に純利益を加えた株主リターンは-44%の45.6億ドルで、直近12ヵ月の合計は時価総額に対して4.5%でした
2024年度見通し
売上高見通しは引き上げ、予想上回る
2024年10月期売上高見通しは510億ドルと、従来の500億ドルから上方修正し、市場予想の506億ドルを上回りました
業績予想・バリュエーション
株価チャート
ブロードコムとは
通信に欠かせない半導体及びインフラソフトウェア企業
ブロードコムは主に通信用半導体の大手メーカー(生産の約90%はTSMCに委託するファブレス企業)です
iPhoneなどスマートフォンや通信基地局向けの半導体、スイッチやルーター、衛星・ケーブルTVセットトップボックス、無線LANルーター、光ファイバーアクセス、データセンター内の通信機器、ストレージシステム、セキュリティソフトウェア(VMウェアを買収)、工場自動化向けのイーサネット接続や光通信機器などを手掛け、2023年10月期の売上高の79%は半導体ソリューション、21%がインフラストラクチャソフトウェアとなっています
全てのインターネットトラフィックの99%以上がブロードコムの技術を経由しているとされ、通信で欠かせない企業と言えます
前身はAT&T/Bell Labsやルーセント、ヒューレットパッカードやアジレントなどの事業体で、これらの豊富な技術資産を継承しつつ、旧ブロードコムやBrocade、Symantecなどの合併を通じて拡大してきました
2024年度にAI向け売上高が35%に到達する見込み
近年ではAI需要の拡大を背景に、アルファベット向けなどに展開するカスタムAI半導体の売上高が大きく伸びており、AI・データセンター関連の有力企業としての地位を高めています
2023年度の売上高に占めるAI向け比率は15%で、2024年度には35%(100億ドル超)に達するとの見通しを示しています
AIの実用化ではデータセンター内の通信高速化が欠かせず、同社のイーサネットネットワークの」「Tomahawk 5」などが好調です
増配に意欲的
半導体企業の中では比較的高配当の銘柄としても知られ、2016~2024年度の1株当たり年間配当は年平均35%増となっています