エヌビディアが24日の時間外取引で終値比4%安となっています。
引け後に発表した5-7月期決算は暫定決算として公表済みで、売上高は前年同期比3%増、調整後EPSは同51%減でした。
今回の焦点は8-10月期(3Q)見通しです。3Q売上高は59億ドルの上下2%としました。前年同期比17%減で、市場予想の69億ドルを大きく下回ります。前年同期比での減収となれば、2020年8-10月期以来となります。
ゲーミングとプロフェッショナルビジュリゼーションが前四半期から減収となる見込みです。OEMやチャネルパートナーが現在の需要水準に適合するために在庫水準を引き下げるほか、新世代製品に備えるためとしています。
いずれ在庫が解消に向かい、ゲーミング売上高は回復に向かうでしょうが、リスクとしては、仮想通貨マイニング需要の影響が読めないことが挙げられます。会社は、8-10月期まではゲーミング製品の厳しい環境が続くとしていますが、仮想通貨マイニングがゲーミング製品にどの程度の貢献をしていたかを正確に定量化することは難しいと述べています。仮想通貨市場の低迷が長期化した際に、同社のゲーミング製品の回復遅れが長引く可能性があるかもしれません。
一方、データセンターと自動車は前四半期から増収になると見込んでいます。2019-2020年時と比べて、ゲーミングや仮想通貨関連よりもデータセンターの業績寄与度が大きく増えているので(2Qはゲーミング売上高は20.4億ドル、データセンターは38.1億ドル)、データセンターに関して今のところトレンド急低下の話が聞かれていないことはサポートと言えます。
データセンターの2Q売上高は前年同期比で61%増となり、ハイパースケーラー向けの倍増が寄与しました。前四半期比では、北米のハイパースケーラーやクラウドコンピューティング顧客が成長を牽引しました。
一方で、中国のハイパースケーラー向け売上高が減収となりました。中国のマクロ影響が要因です。北米の好調がどこまで続くかというポイントもありますが、中国に関してはマクロ影響は少しずつ回復に向かうことが想定されますので、目先のデータセンター売上高については大崩れとなるリスクはそれほど高くないのでは、と感じています。エヌビディアは、中国ハイパースケーラーのインフラ投資の減少は、永久には続かないと指摘しています。クラウド利用者の増加やクラウドサービスの数の増加が続いており、投資はいずれ回復するとしています。
なお、2Qはデータセンター売上高に、本来3Qに計上予定だった2.87億ドルの受注が前倒し計上になっています。反面、2Qの受注の一部は3Qに完了するとの見方も示しています(サプライチェーン問題の影響で)。
自動車は前年同期比45%増収でした。自動運転やAIコックピットソリューションが堅調でした。
3Qの粗利益率見通しは62.4%、調整後ベースで65.0%と、在庫削減や評価損の影響で急低下した2Q(43.5%、45.9%)からは急回復し、平常時並みになると見込んでいます