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マイクロソフトの3Q決算はAI期待を高めつつある

  • 決算コメントは AIの利用拡大を示す
  • AI投資を続けるも「営業費用は低水準に」
  • クローズドな企業ユースでの AI活用に期待

マイクロソフトが25日引け後に発表した3Q(1-3月期)決算は、収入が前年同期比+7%、希薄化後EPSが+10%、営業利益率が+1.0%ptの42.3%と、利益率の上昇を伴った良好な結果となりました。

4Q(4-6月期)収入は+6~8%の548.5~558.5億ドル(市場予想は550.7億ドル)とこちらも良好で、セグメント別ではPBPが179~182億ドル(179.9億ドル)、ICが236~239億ドル(237.9億ドル)、MPCが133.5~137.5億ドル(132.2億ドル)と、ICが市場予想をやや下回りましたが、成長継続への期待を高めています。

時間外取引で、株価は終値比で約8.5%高の298.86ドルでした。

決算コメントは AIの利用拡大を示す

MSFT決算と合わせて発表した決算説明文からは、今後のクラウドやAIによる成長を期待させる内容が多かったと捉えています。

以下、会社コメントを整理しました。

  • クラウドの「Azure」は4Qに為替影響を除いたベースで26~27% 増収を予想(3Qは31%増)。うち、1%ptはAIサービスによる成長となる見通し
  • 「Azure」は市場シェアを拡大している
  • OpenAIやエヌビディアやAI系の新興企業は、AIの大規模モデルの開発にMSFTのAIインフラを利用している。3Qに新規利用した顧客として、ユニリーバなどが挙げられる
  • クラウドとオンプレミス(インフラの自社所有)を統合管理する「Azure Arc」の顧客数は1.5万以上で、前年同期比で150%超となった
  • 5G通信の分野でもクラウドが採用されており、AT&Tなどが3月のMWC(モバイルワールドコングレス)にて、ネットワークの近代化にクラウドをどのように活用しているかを説明した
  • インテリジェントなデータ分析プラットホームも価値を生み出しており、OpenAIはデータベースサービスの「Cosmos DB」によってコンシューマー向けに最速スピードで成長するアプリとなった
  • NBAはCosmos DBによって、1試合当たり1,000万以上のデータポイントを分析し、チームを支援している
  • 「Azure OpenAI Service」は「ChatGPT」や「GPT-4」などを統合したもので、2,500以上の顧客が利用している(前四半期比では10倍に増えた
  • 開発者を支援する「GitHub」(Fortune500企業の76%が利用中)においては、AIサービスの「Copilot for Business」は公開から3ヵ月以内で1万以上の組織が利用登録した
  • データの分析や組織内連携、自動化、ローコード開発などを可能にする「Power Platform」のMAUs(月次アクティブユーザー数)は前年同期比で50%近く増加し、3,300万人程度となった
  • AI機能を搭載したPower Platformは3.6万以上の組織が利用している
  • 「Bing」と「Edge」はリリースから2ヵ月が経過し、BingのMAUsは1億人以上となった。Edgeは8四半期連続でシェアが上昇した
  • 「 Teams」の利用度は過去最高で、MAUsは3億人を超えた。企業顧客の60%近くが「Teams Phone」、「Rooms」、「Premium」を購入している
  • 商用「Office365」は契約更新と高価格帯「E5」が好調だった
  • 商用「Office365」の有料シート数は前年同期比+11%の3.82億超となった
  • 「LinkedIn」のユーザーは9.3億以上となり、インドは1億超となった(前年同期比+19%)。若年層の「GenZ」が労働人口に加わることが成長に寄与している(学生の登録者数は前年同期比+73%)
  • 「LinkedIn」の採用におけるシェアは、3四半期連続で拡大した

AI投資を続けるも「営業費用は低水準に」

「E5」などOfficeのアップグレードが続いていることも、将来的なAI付加サービスのアップグレードにつながり得る要素としてポジティブといえます。

AI関連サービスの拡大もさることながら、設備投資がある程度抑制できる可能性もポジティブに映りそうです。

会社は、2024年6月期もAI関連を中心にクラウドインフラに投資する意欲を示しました。設備投資は増えると思われますが、営業費用については「引き続き低水準を見込んでいる」としています。

今回の3Q決算で営業利益率が拡大したように、来期も利益率については相応の期待ができるかもしれません。

既に会議の議事録作成やさまざまな文章や画像の生成、企業決算のまとめなど、多くのことができるようになっている(orこれからできるようになる予定)MSFTのAIサービスですが、まずはクラウドの「Azure」の業績拡大が予想されます。

その後、Office製品など消費者レベルの幅広い製品にもAI関連機能が組み込まれ(例:会議に参加しなくても自動作成された議事録をみたり、どうしてそのような結論に至ったのかをまとめた文章なども閲覧できる)、ユーザー数の拡大や単価UPにつながると思われます(個人的には数年先をイメージしています)。

クローズドな企業ユースでの AI活用に期待

巷では、AI脅威論やAI抑制論が強まっており、MSFT株に逆風もあります。広く世の中にオープンとして自由にAIを使うことには規制が入ることは想定されますが、例えば企業内の情報や分析をベースにして、比較的クローズドな環境において企業内での業務効率化に用いるということであれば(セキュリティ対策はもちろん万全に)、利用が進む余地は十分あると思われます。

近い将来、AIによる業務効率化や生産生の拡大がもたらされ、MSFTやNOW、ADBEなどのソフトウェア関連銘柄のポジティブなセンチメントにつながることを期待したいと思います。

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