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インテュイティブ、2Qで急落も競争力は変わらず

インテュイティサージカルが21日引け後に発表した4-6月期(2Q)決算を受けて、22日に一時10%ほど下落しました(引けは5.7%安の211.85ドル)。

売上高(前年同期比4%増)、調整後EPS(12%減)、手術支援ロボットのダ・ヴィンチ出荷台数(15%減の279台)などが市場予想を下回る、極めてネガティブな実績でした。

会社は出荷台数減少の利用として、3つ挙げています。

・顧客が新世代機(第4世代機)の利用が標準的になったことで、第3世代機の下取り可能台数が減っている(買い替え需要が一巡しつつある)。4-6月の下取り・除却台数は53%減の64台でした。

・サプライチェーン問題で半導体が不足し、システム構築がタイムリーにできず一部の顧客注文に応じれていないこと(6月出荷予定分の一部は7月に後ろ倒しなど)

・顧客である病院の財政が厳しいこと(新規ロボットを買うよりは既存のロボットの活用度を上げることを優先している)

いずれも、前四半期から継続している事象ゆえ、これら自体に目新しさはあまりないと思います(予想以上に出荷台数が減ったことはネガティブサプライズではあります)。

特に病院は、新型コロナの感染で看護師が足りず、外部から応援を求めるなどコストが膨らんでいるところに、インフレ(賃金上昇含む)や金利上昇(設備投資しにくい要因に)なども重なり、当面は設備投資しにくい環境が続くと言えそうです。病院は過度に診察料を上げることもできませんので、コスト増加を患者に転嫁することは困難です。こうしたことから、少なくとも今年一杯はインテュイティサージカルのロボット出荷台数のモメンタム回復は期待しにくそうです。

ただしマクロ的に見れば、インフレやサプライチェーン問題はピークアウト感が出てきているので、「今が業績の底」という見立てはできそうです。

ポジティブな話もありました。手術件数が市場予想の12%増を上回る14%増だったことです。それに伴い、通期の手術件数見通しを前期比14~16.5%増と、従来予想の12~14%増から上方修正しました。

4-6月は中国がロックダウンの影響が大きかった時期にありますが、米国外の手術件数は22%増と好調でした(米国は11%増)。同社曰く、システム稼働率は上昇しており、年率の稼働率を見ると直近3年間と比べて5%上回っているとのことです。

その背景として、適用症例の増加があります。昔は同社システムは泌尿器科(前立腺癌など)などが大きなウェートを占めていましたが、最近は米国では、大腸癌や胆嚢、肥満外科手術など広がりを見せています。米国外でも同様に、ダ・ヴィンチの利用症例が広がっています。マクロ環境やサプライチェーンの問題で同社業績は苦境に立たされていますが、決して、同社のシステムの競争力や製品力が低下したわけではなく、むしろ健在であると言えます。

最新機器に対する需要も底堅く、180度回転するカテーテルなどで気管向けの手術などを実施できる「Ion」の6月末稼働台数は204で、今回の四半期で41台増えました。前年同期が20台の増加だったため、増加台数に衰えが見えないことは明るい材料と言えるでしょう。

同社売上高の7割強は、手術毎に交換するロボットアームなどのインスツルメント&アクセサリー部門と保守・メンテナンスのサービス部門で構成されています。新規のロボット台数の伸びが減速しても、インストール済みロボット(6月末は13%増の7,135台)で一定の手術をこなせば安定した売上高が期待されます。

また、同社はオペレーティングリースでの販売も進めています。病院にとっては初期費用を抑えることが可能になります。4-6月期の出荷台数のうちオペレーティングリースの比率は42%と、前四半期の35%から大きく上昇しました。インストール済み台数に占める比率は21%です。

オペレーティングリースは、一定数の手術件数をこなすなどの制約が病院側にあるようです。よって、インテュイティサージカルにとっては、まとまったロボット販売代金が入ってこないというデメリットはあるものの、安定した手術関連収入を得られるというメリットがあります。前述のインスツルメントとサービス収入に、このリース収入を加えると全社売上高の81.5%となります(同社はリカーリング・レベニューと定義)。

事実、会社は今回の決算で、「当社は総じて既存システムの稼働率の上昇を優先させている。それが顧客からの信頼性向上、長期的に自社の利益拡大につながると考えている」と述べました。この戦略には共感が持てます。

当面は出荷台数の面から厳しい状況が続きますが、いずれマクロ環境の最悪期(サプライチェーンやインフレ)が通り過ぎるということを踏まえると、株価は徐々に底打ちを試し始めると見ています。テクニカルで見ると、過去5年のサポートラインが180-200ドル程度にあるため、200ドル前後での底固めを期待したいところです。

週次ではMACDが、ゴールデンクロスの形成をうかがっている状況です。これが成立すれば、株価の下落トレンドから1つ息をつけるのではないでしょうか。

同社は4-6月期に5億ドル相当の自社株買いを行いました。7月に、自社株買い枠は35億ドルに増やしています。

アナリストの目標株価コンセンサスは決算直後に下方修正が進んでおり、257ドルです。

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